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2016.4.3~4.24

Daisuke Samejima

AMBUSH

2016年4月3日(日)よりCRISPY EGG Galleryでは鮫島大輔『AMBUSH』展を開催する運びとなりました。

 

鮫島大輔氏(http://samejima-daisuke.blogspot.jp/)は、球体や枠、メリーゴーランドの馬などといったさまざまな形状の立体物に、匿名的風景を描きこみます。

 

その風景はどこかの郊外の住宅街や地方のロードサイドによくみる何がしかの店舗といった、無個性で匿名的でどこまでいっても繰り返されるパッチワークのような街の風景です。多くの日本人からすれば「あれ?ここは私の住んでいる街のどこかだろうか?」と既視感を覚えることでしょう。

 

そんな風景を鮫島氏は強引に剥ぎ取り、立体に貼り付けていきます。匿名的風景がどこを切り取っても同じで取り替え可能な景色なのならば、被写体のそれぞれがまったく違う地域であったとしても、壁紙のように引き剥がして立体へバラバラに貼り付けたところでそれが別々の場所であると誰が気づくのでしょうか。描かれている住宅にせよマンションにせよ店舗にせよ、そこには様々な人の営みがあるはずなのですが、まるでそれすらも「連続した形が羅列される模様でしかない」と鮫島氏は言っているかのようです。

 

しかも、立体の中心へと向かっていく遠近法は、展示空間の中に突如として切り裂かれたワームホールのように私たちをひきづりこもうとし、観客は強烈な違和感と同時に戸惑いを覚えます。匿名的風景というものは私たちにとっては最もなじみの風景なのにもかかわらず、その均質性にハタと気がつき、それこそが異物なのだと捉えてしまうからなのでしょう。

 

この鮫島氏のランドスケープの捉え方は一見すると暴力的とも思えるのですが、それゆえに私たちの日常を揺さぶってくるのです。

 

この機会に是非ともご高覧承りますようお願いいたします。

 

2016年3月

石井弘和

DAISUKE SAMEJIMA

鮫島大輔

Questionnaire

⑴鮫島さんの好きな作家、尊敬する作家は誰ですか?

 

影響を与えたという意味でしょうから、今回あえて紹介する作家はいません。

 

 

⑵鮫島さんが繰り返し描く風景は、郊外の住宅街だったり、ロードサイドの建物だったりと、どこにでもあるような風景が描かれています。このような「どこを切り取っても同じような風景」は鮫島さんにとってどのような意味、意図があるのでしょうか?

 

僕にとっての郊外の風景とは、何も物語の起こらない背景の様なものです。住宅は効率やコストを追求した素材で作られ、ロードサイドには景観の調和を無視したような原色を多用した店舗が立ち並んでいます。もちろん人間が作り出した景観なので、誰かの思惑や配慮、夢などが複雑に混じりあった風景のはずなのですが、どこを切り取っても同じように見えるし、誰の周りにも当たり前にあるニュートラルな風景なのではないかと思います。

絵の中には主役となるような人物はいません。こちらが示唆する物語もありません。立体物を支持体に描いたシリーズでは、鑑賞者が自分の意志で見ている感覚を持つ為の仕掛けが施してあります。

ものの見え方は意識の転換や意味を与えることで全然違うものになります。例えば一棟のマンションを見て、生まれ育った家と似ていると見るか、コンクリート、鉄、木という素材の集合体として見るか、それだけでも意味の上では全く別物になります。

絵は意味を与えなければ絵具の塊にすぎません。そして当然ですが意味の与え方は鑑賞者それぞれ自由です。僕は鑑賞者が自分を主役にして見る世界を提供し、どこも同じように見える郊外の風景の違和感や、面白さ、いとおしさ、気味悪さなど色々な感覚を作品の中に挟み込んでいます。

僕が描いているのはどこか遠い場所も物語ではなく、鑑賞者がまさに立っている今の世界です。自分が何を見ているのかを考えるのにこのニュートラルな風景はとても面白いモチーフです。

 

 

⑶鮫島さんの描かれる風景は、風景が立体化しているのでしょうか?それとも立体物に風景が描かれているのでしょうか?そしてその理由はどういったものなのでしょうか?

 

立体物に風景を描いています。

その理由については支持体ごとにそれぞれ違うのですが、立体物に描いた作品に共通することとして「全貌を分かりにくくする」という理由があります。「取り立てて描くほどではない日常」をあえて絵画にする際、どこを見ているのか分からないような視点が欲しいと思いました。いくつか例を挙げますと、球体の作品は、360°全面に風景を描いた作品ですが、球体ですので一つの角度からでは絵の全貌を見渡すことは絶対に不可能です。必ず回転させて描かれている絵画空間を目で追っていかなければ風景の全貌は把握できません。鑑賞者は回転させている時間分だけ物理的に作品世界の中の時間を体感します。球にすることで明確な正面が無くなり、主役となりそうな人物や、ストーリーを想起させるものは描かれていないので、どこにも行き着きません。鑑賞者にとって自分がいない、周りの背景と言うべき空間だけがあります。

 

⑷同じような建物がならぶ郊外の風景とは、ある一定の豊かさを低コストで効率良く手に入れるため、大量生産によって作り上げられた風景、として考えることができます。もし郊外風景をそのように捉えた場合、鮫島さんが若き頃ご経験された阪神淡路大震災(1995年)とその復興が原体験的に関係しているのではないかと推察します。鮫島さんの制作にそのようなイメージや意図、テーマは含まれているのでしょうか?

 

震災が作品へ影響を及ぼしていることはありません。

描こうとしているものは特別な体験からではなく、もっと普遍的なものです。

 

⑸鮫島さんの代表作に球体へ風景を描く「フラットボール」シリーズがあります。このフラットボールシリーズは球体に風景が描かれているために、360度どの位置から見ても消失点があります。この360度どの位置から見ても消失点がある状態とは、主体が自分の立っている場所を中心に360度グルッと回った時に得られる外向きの視線であるはずです。しかし、フラットボールは複数の消失点を球体の中心に作ることで、風景が内向きに圧縮したように感じます。この四次元的な風景に「平坦な」という意味の「フラット」という名をつけた意図をお教えください。

 

「フラット」とつけたのは、四次元的な空間を表現しようとしたトリックアートではなく、360度風景を繋げようとした結果、支持体が球体になりましたが、あくまで平面的な絵画作品だからです。

ですが、絵画作品でありながら描かれた風景の消失点が全て球体の中心に向かっていることから、世界が球体に内包されているようにも見えます。このようなアンビバレントな感覚をフラット+ボールというタイトルで表現しています。

 

 

⑹最近、鮫島さんの活動で個人的にはとてもおもしろい試みだと思っているのが、石坂翔さんとのコラボレーショングループ「二DEC」です。石坂翔さんは主に「強制的に祝祭を作る」作品を作っており、一方で鮫島さんは「どこにでもある風景」を描いています。この方向は違えども、テーマが通底する二人のコラボレーションは鑑賞者の日常に穴を開けるような作品となっていると思います。今後はどのような作品を目指していくのでしょうか?

 

そうですね、いくつかアイデアはありますが、これまではお互いの作品をそのままドッキングさせる試みでしたが、今後はコンセプトの部分で融合するような作品になるかもしれません。お楽しみに。

 

 

⑺今回の展示のテーマはなんでしょうか?

 

今回は5年ぶりとなる平面作品での展覧会になります。描きたいテーマはこれまでと変わっていませんが、視点を今までより少しクローズアップしています。

多くの作品で日常の中で見つけた山を描いていますが、何が見えるかは是非実物をご覧になって頂きたいです。

 

 

 

質問は以上です。

お付き合いいただき誠にありがとうございました。

 

それでは展覧会楽しみにしております。

よろしくお願いします。

 

石井弘和

1979 兵庫県尼崎市生まれ

 

主な個展

2002 「トーキョーワンダーウォール都庁2002」東京都庁舎(東京)

2003  TWS-Emerging 037「WALK IN CUBE」トーキョーワンダーサイト本郷(東京)                                     

2006 「Everyday Journey ~次元を超えたランドスケープペインティングへ~」equal(大阪)

2008 「Wednesday Night & Thursday Morning」Art Center Ongoing(東京)

      「round and round 」ヒロ画廊(東京)

2010 「ギャラリースタッフセレクション♯33 鮫島大輔展」相模原市民ギャラリーアートスポット(神奈川)

      「daisuke samejima - invisible spaces」super superficial gallery7(ロンドン/イギリス)

2011 「Terror」Art Center Ongoing(東京)

2014 「SIGN」Art Center Ongoing (東京)

2015 「GLIMPSE」ヒロ画廊 伊豆高原(静岡)

2015 「INVISIBLE」ヒロ画廊(東京)

 

主なグループ展

2002  第19回グラフィックアート「ひとつぼ展」ガーディアン・ガーデン(東京)

       フィリップモリス KK アートアワード2002「ザ・ファースト・ムーヴ」東京国際フォーラム(東京)

      「トーキョーワンダーウォール2002 入選作品展」東京都現代美術館(東京)

2003 「カウパレード東京in丸の内2003」丸ビル周辺のパブリックスペース(東京)

      「ONGOING vol.02」A.B.cafe(東京)

2004 「ARTIST NIGHT Vol.3」トーキョーワンダーサイト本郷(東京)

      「景展 ~シカクノイロハ~」相模原市民ギャラリー(神奈川)

      「トーキョーワンダーウォールの作家たち2000-2003」東京都現代美術館(東京)

2005  ONGOING Vol.04「よんで みて みて」BANKART studio NYK(神奈川)

2006 「第9回岡本太郎記念現代芸術大賞(TARO賞)展」川崎市岡本太郎美術館(神奈川)

       ONGOING vol.05「ヨコハマエクトプラズム」BANKART studio NYK(神奈川)

      「Bunkamura Art Show 2006」Bunkamura Gallery(東京)

2007 「黒川紀章キーワードライヴ(展示クリエーション)」国立新美術館 (東京)                  

      「東京画 -ささやかなワタシのニチジョウのフーケイ」トーキョーワンダーサイト渋谷(東京)

2008 「Esquire cafe '08/ss アートとお茶しませんか?」表参道茶寮 表参道ヒルズ店(東京)

2010 「トーキョーワンダーウォール 2000-2009 10年!」東京都現代美術館(東京)

2011 「PLATFORM2011 -距離をはかる-」練馬区立美術館(東京)

2012 「On paper」シラパコーン大学サナムチャンドラー宮殿キャンパス アートギャラリー(タイ)

2013  LOVE展 関連企画「六本木ヒルズクラブ内展示」六本木ヒルズクラブ(東京)

       042アートエリアプロジェクト スーパーオープンスタジオ2013「弍層式Vol.01 二DEC OPEN FACTORY」二DEC(神奈川)

2014  042アートエリアプロジェクト スーパーオープンスタジオ2014「弍層式Vol.3」アートラボはしもと(神奈川)

 

その他

2002  TDKよりMD BITCLUB 4デザイン 通常版、限定パック発売

2004 「ストリートペインティング事業第1弾 六本木トンネル」六本木トンネル歩道壁面(東京)

2008  「Stefan Riekelesによる公開キュレート企画“Surface Refinement(表象精製)”」

         トーキョーワンダーサイト渋谷アートカフェkurage(東京)

受賞

2001  FREE ART FREE 2001 FAF賞(大賞)

2002  トーキョーワンダーウォール公募2002 大賞

2004  前橋アートコンペライブ2004 黒川雅之審査員特別賞