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2016.10.9~10.23
Chihiro Horita
Contour lines of bug's things
会期終了しました
CRISPY EGG Gallery では堀田千尋『Contour lines of bug’s things』をする運びとなりました。
堀田千尋は1990年生まれ。
初めての個展を「デビュー」というのであれば、まだ二年目の新人アーティストのご紹介という、当ギャラリーでは初めての試みとなります。
堀田は多摩美術大学在学中、「ぬいぐるみ」を作品として制作してきました。
動物やその動物の身体の一部を、かわいらしい外見で作られた、「ぬいぐるみ」の使用目的そのものを目指した作品を制作していました。
しかし、ここ数年の作品は突如その色を変えました。
ぬいぐるみは「布」と「わた」を組み合わせた素材として扱われ、日用品やおもちゃと一緒に並べられるインスタレーション作品という、当初の外形とは程遠いものを作るようになったのです。
2015年に行われた個展『Clean the house of using dogs』では、犬の形をしたモップで部屋を掃除する、という立体と映像の作品を発表しました。これは本来「犬のぬいぐるみ」のもつ「愛玩」や「フワフワした外形」という要素を剥ぎ取り、「掃除」と「モップ(ゴワゴワした硬い素材感)」をその空欄になった要素(x)に代入することで、今までの彼女の作品を大きく否定する試みでありました。
また、drawingシリーズ(下部、ギャラリー参照)では日用品やおもちゃがぬいぐるみ(正確にはぬいぐるみだった「わた」や「布」)から飛び出しているようなインスタレーション作品が作られています。
そのような一連の脱構築を扱った作品群が特徴的なのは、ポストモダン的なカラッとした雰囲気ではなく、屠殺的とも言っていい彼女独特の生々しさを感じ取ることができる特徴的な作品であると言えましょう。
インスタレーションのその様はまるで、剥製にするために引きずり出された内臓が床に飛び散っているようですし、犬のスポンジは動物虐待をみているようであるとも言えます。
この彼女の暴力性はとてもショッキングなものではありますが、ポリティカルな正しさで読み解くべきものではないと思われます。
この暴力性を心理的発露的なものなのか、社会的なものなのか、はたまた単に彼女の暴力性によるものなのか、と読み解くかによりロールシャッハ的に「私(鑑賞者)は何に興味があるのか?」を読み解く鏡のようであるとも言えます。
今後の活躍を含め、皆様には是非ともご高覧いただきたい作家であります。
本展示を通して、是非とも堀田の作品を体験していただきたく思います。
2016年9月
石井弘和


鉄、ホース、ハンマー、布、綿、熊手、ラバーカップ、木材

布、綿、金属、ろうと、プラスチック、しゃもじ、箒、ピーラー、テープカッター、水糸、瓶、ホース、木材

木材、布、綿、たわし、デンプンのり、ミニカー、プラスチック

布巾、樹脂、傘の骨、木材、金属、水道管、ナイロンたわし
